ふくしま復興支援ブログ

~大分と福島、交流の記録~

震災復興支援活動

震災復興支援活動  福祉事業部統括マネジャー 高野 基治

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○震災支援活動
 震災支援活動の第一陣として、児玉常務を団長に岡部さん小野さんとともに支援物資を2台のトラックに積み込み、理事さんや本部の方たちに見送られ大分を出発したのは3月25日(金)の午後1時過ぎでした。同日夕刻に新門司港からフェリーに乗り込み、東京の有明港に上陸したのが27日(日)の午前6時30分、陸路を福島県までひた走り現地に到着したのはお昼を過ぎていました。それから当日を含め5日間の支援活動を行ない、既に桜が満開であった大分に帰りついたのは4月1日(金)の午後でした。私にとって初めての「震災支援活動」の8日間が緊張の中に始まり、その緊張が解けぬまま終了しました。

 本当に得がたい経験をさせていただきました。生協の基本理念である「協同とたすけあい」をこういう形ではありましたが体験させていただいたことに心より感謝します。このような悲惨な事が二度と起こらないことを祈ることは当然ですが、「再びこういう経験をすることも無いだろう」と特別な感慨のある日々でもありました。そういえば、行きの道中で首都高速から東北自動車道に入り北へ北へとトラックを走らせているときに私とペアで同乗し運転をしていた岡部さんが「この道を走ることは今後の人生の中でももう無いでしょうね」としみじみ話していたのが思い起こされます。とても寒い中でしたが空は青く、はるかに臨む山々は冠雪で清冽たる眺めでした。こんなに綺麗な景色と、テレビで見た海岸沿いを中心に甚大なる被害に遭われた地域の「すべてが失われた景色」が心の中でうまく結びつきませんでした。ただ、いつの日にか復興が叶い、被災された方々がもとの生活に戻られ、震災が人々の記憶となる頃(相当先のことですが)にもう一度この東北自動車道を楽しい気持ちで北上してみたいと感じたのも、不謹慎ではありますが事実です。

○日常
 日常とは「ふだん」とか「へいぜい」という意味です。コープふくしまさんへの支援活動に行かれた方は私も含め日常とはまったく違う行動をすることになりました。私でいえば、日常は介護センターに出勤し、介護センターやデイサービスの皆さんといろいろ話ししながら福祉・介護の仕事をしています。毎日同じ仕事ではありませんがそれでも日々におおきな変化があるということでもありません。いわゆる「通常業務」です。一方、支援活動は見知らぬ土地で短期間ではあるものの経験の無い活動(仕事)をします。はたして私がお役に立てるのか? いやいや精一杯お役に立ちたい! そのために来たのだから…と様々考え、不安も感じ、何をすることになっても頑張るし力仕事なら得意だとか思っていましたが、ある意味新鮮なものを感じられるのではと思っていました。日常=通常業務が退屈なものであるという意味ではありません。そんな思いは少しもありません。チャレンジという言葉はむしろ日々の業務の中にこそあると思ってもいます。ただ、日常では無いことが何か新たな経験をさせてくれるものだと思っていました。

 ところが、コープふくしまさんでの支援活動を経験させていただき、日常であることの難しさ、ありがたさを痛いほど感じました。私たちが支援に入ったコープふくしまさんでは13店ある店舗のほとんどが福島市内や近郊にあり、今回津波の被害に遭った店はありませんでしたが、震災の影響は大きく多くの店舗が何かしらの被害に遭っています。店内が壊れ店頭で少しの商品で営業している店、2月にリニューアルを果たしたものの今回の震災で店内が壊れ営業が出来ない店、その他の店も何とか営業出来ても商品が7割程度しか揃わず組合員の期待には応えきれない状態であり、すべての店舗が通常営業=日常ではありませんでした。店舗施設の壊れ方があまりに酷く「もうここでは再び働けないのではないか」と悲観し退職を真剣に考えた定職さんも1人や2人では無かったと聞きました。それでも少しずつ復興・再開への作業を皆してすすめる中で「なんとかいち早くもとの状態にしていくんだ」という思いになったと伺いました。岡部さんと私が応援に入った「やのめ店」は前週の金曜日(3月25日)に不充分ながらやっと開店できたと店長の藤川さんからお聞きし、おそらく休みも無く再開店への作業をしてこられたのだろう、大変なことだったであろうことを強く感じました。その藤川店長は29日にようやく休みをとられ、それでも店の様子が気になると午後には出てこられました。散髪に行ったらしく長かった髪は短くさっぱりしていました。そして、「2月まで勤務していた国見店の様子を見てきました。こことは違い壊れ方が酷くてみんな本当に大変そうで…」と言ったところで言葉をつまらせ目は潤んでいました。改めてコープふくしまの皆さんもそうですが当地の方々は日常に戻るために必死に頑張っておられることを感じました。しかし店舗を改修し、いつもの品揃えをし、組合員さんに戻ってきていただくこと、日常に戻ることがどれほど大変なことかを思うと呆然としてしまいます。今更ながら日常を過ごす事の有り難さを感じずにはいられません。長く厳しい道のりになろうかと思いますが、その途上で私たちの支援がわずかながらでも一助になれたとしたら幸いですし、形は変われども今後も支援・応援をし続けていかねばと思いました。

○「ご苦労様」
 岡部さんと私は4日間の支援活動のうち3日間をコープふくしまさんの「やのめ店」に入りました。やのめ店は600坪ほどの大きな店で中にはテナント(美容室・眼鏡屋・100円均一ショップ・ドラッグストアー・ファーストフードetc)も入っています。二階建てで二階は駐車場になっており、三階の屋上も駐車場です。
店頭の駐車場は約50台程度しか止められない小さなものなので満車になると二階・三階へ駐車することになります。震災の被害としては店内はそれほどでもありませんでしたが、二階駐車場はスプリンクラーが壊れてしまい消防法上駐車出来ない状態です。したがって一階駐車場が満車になると三階の屋上駐車場に登っていただかなくてはなりません。しかし、人の気持ちは誰も一緒で組合員さんはやはり入り口から近い一階駐車場への駐車を望まれます。中には駐車スペースで無いところに止められ、それが他の組合員さんの迷惑になるので…、と藤川店長より説明をいただき、我々は3日間ともお昼過ぎまで駐車場の整理を頼まれました。寒い中で外での仕事ということもあるのか、店長さんは気の毒そうに提案されましたが、我々2人は「はい!喜んで!」とどこかの居酒屋の店員みたいな返事をして意気揚々に駐車滋養の整理を行ないました。確かに寒い中ではありましたが防寒着で完全武装している我々には丁度良い気温、一生懸命に出入りする車の誘導にあたりました。ほとんどは身ぶり手ぶりで駐車場所の指示をしましたが、「もう一階は止められないの?」「ええ満車なんです。すみませんが三階の屋上駐車場はOKなんでそこまで上がって下さい。エレベーターも使えますから」という会話も何度と無くしました。そんな会話だけで無く時には「寒い中大変ね、ご苦労様」とわざわざ窓を開けて声をかけてくださる方も何人かおられました。おおっ、私たちのことを気遣っておられる、なんとありがたいことか、嬉しくなって「いえいえ、今後もやのめ店をよろしくお願いします。追々商品も揃うと思いますので」と応えました。なんだかこのお店がそして生協が愛されていることを感じました。何も、声をかけられた方だけがやさしい気持ちを持っておられるわけでは無く、みなさん同様だとも思います。それは車中からの目線と小さなうなずきで分かります。生協のお店はそんなやさしい組合員さんたちで支えられていることを感じた3日間でした。