ふくしま復興支援ブログ

~大分と福島、交流の記録~

19.コープふくしま理事による「ふくしま報告会」

ふくしま報告会
6/27に開催した「第62回通常総代会」にコープふくしまの組合員理事2名にお越しいただき、2012年度に行なった募金活動や商品利用の一部を「ふくしま復興支援金」として、2,951,562円をお渡ししました。
総代会終了後に「ふくしま報告会」を開催しました。コープふくしま組合員理事2名(渡邊理事・菅野理事)より、発生当時から現在の状況を報告していただきました(地震発生時の状況や現在の問題点、特に放射能に関連する調査活動や風評被害防止の活動等の内容)。また、コープおおいたからは、今年3月に福島県 新地小学校と福島市内の仮設住宅を訪問した際の報告を時松(組織運営部)と下村(畑中センター)より行ないました。


福島県のサクランボ40kgを販売しました。

(コープふくしま 渡邊理事の報告より)

東日本大震災 3.11から2年3カ月が過ぎた今」と題して報告していただきました。
(以下、抜粋して紹介。画像は渡邊理事のパワーポイントのデータを使用させていただきました)

渡邊さんが住んでいる相馬市の沿岸部に津波が押し寄せた動画や映像が映し出されました。

「震災から2年が経ち、『今、福島の復興は』と聞かれても 『?』です。ガレキが片付いただけかな? 沿岸部にはまだ堤防もなく、また津波がきたら、、、原発は大丈夫? 地震が来るたびにびくびくしています」

「ようやく今年の1月23日から新地町(1.4km)、相馬市(5.7km)、南相馬市2.8km」の堤防工事(高さ7.2m)が始まりました。新地町と隣接している宮城県山元町では、1年前から堤防工事が始まっているのに福島の復興は遅いです。浜通り(沿岸地域)の真ん中に原子力発電所があるため、JR常磐線が分断され、また、宮城県境で駅、線路が津波で流されているので、開通までに5年はかかるそうです。」

「一時帰宅された方が撮影した富岡町の写真です。富岡町は避難区域です。計測してみると線量が7.3マイクロシーベルトありました。飼育してたダチョウが野生化していました。牛や豚の家畜も野生化しています」

「国道115号線の様子です。震災後に相馬〜福島〜山形に通じる高速道路の工事が始まっていますが、その工事で出た汚染された落ち葉、枝などは袋に入れられ115号線沿いの仮置場にたくさんあります。早く中間貯蔵場所が決まれば良いのですが、、、」

「今年度から仮設住宅支援ボランティアスタッフを募集し、現在56名のスタッフが集まり、コープみらいと一緒になってサロン活動を郡山2カ所、福島2カ所で月1回開催しています。また、全国の生協から送られたお菓子、手づくり品などを届けて喜んでいただいています。」

「いざというときの非常食づくりを紹介します。材料をポリ袋に入れ、沸騰したお湯で30分煮る(ゆでる)。簡単にできると評判でした。」

「野中専務を講師に簡易測定器を使った学習会を開催しています。各市町村などに簡易測定器があり、食品の線量を計る事ができます。結果はセシウム134、137が検出か不検出かです。」

「外部被ばくの学習会をしている中で食べ物は大丈夫? と内部被ばくに対する組合員さんの不安に応えるため、食事調査+ホールボディーカウンターを開始しました。私も食事調査に参加させていただきました。1日分の食事を調査に出します。結果は検出限界未満でした」

「このグラフは私のホールボディカウンターの結果グラフですが、結果は検出限界未満です。地元産の水、米、野菜を食べてもホールボディカウンター検出値を上げないとの結果です。この結果を受け、安心して福祉まで生活していきます。放射能についての情報はたくさんありますが、学習などを通して放射能を正しく知って、理性的に怖がってください」

「この間、コープおおいたさんよりたくさんのご支援をいただきました。外で遊べない子ども達の為に手づくりのぬいぐるみ、おもちゃのプレゼントありがとうございます。これからも組合員さんとよりそい、ふくしまで安心して暮らしていけるよう取り組んでいきます」


(コープふくしま 菅野理事の報告より)
原発事故による放射能汚染に向き合って〜コープふくしまで取り組んできたこと〜と題して報告していただきました。

「震災以降コープふくしまが取り組んできたこととして、以下の11項目に取り組んでいます。今回、2.4.10.11について報告します。」
1.全国の生協から福島県に寄せられた義捐金は8億7千万円
2.2011年4月から放射能学習会を県内数十箇所で開催
3.避難所での炊き出し活動
4.ガラスバッジによる外部被ばく測定サービスと学習会
5.希望者宅の放射線量測定と除染方法などの個別相談
6.除染ボランティアの窓口開設(現在約1200名が登録)
7.除染応援カーの配置と無料貸出
8.除染事業開始(行政の除染が待ちきれない方へ有料で実施)
9.県内各地の仮設住宅でのサロン活動(心のケア応援)
10.実際の食事に含まれる放射性物質量の測定
11.福島県の農産物を利用してもらう取り組み


放射能とは“ナニモノカ”の学習会(4月〜5月県内17箇所で)を行ないました。3月20日ころ福島市放射線量は20マイクロシーベルト毎時。住民は、何も知らずに緊急事態の中で生活をしていました。学習を通して「とにかく怖い」→「理性的に怖がる」に変化していきました。」

「ガラスバッジ(外部被ばく)測定結果を踏まえての学習会(2011年10月16日郡山市)を行ないました。ポイントは、外部被ばくの結果で「ガンになる確率を計算するのでなく、暮らし方の参考にして前向きに活用することが大切であることを学びました。」


「食事調査について報告します。食からの内部被ばくが最大の関心事であることから取り組みました。調査方法は、家庭の食事を一食分余分に作り、食べた分量を2日間(6食分)を保存して埼玉県の日本生活協同組合連合会の商品検査センターに送り検査してもらいます。100世帯中10世帯で微量のセシウムが検出されました。検出された同じ食事を1年間食べ続けたと仮定した場合、内部被ばくの推計値は0.02〜0.14ミリシーベルトでした。カリウム40は自然界にある放射性物質で、成人の体内に4000Bq程度あるそうです。」


「食事調査に参加した方々の声(アンケートの声)を紹介します。
・このような検査をまめにやることによって、少しずつでも安心できるように自分自身がなりたいと思います。
・実際に食べているものを調べていただくのは、ここで生きている私たちにとって支えになってきます。
・他の家庭の具体的な食材の産地も知りたいです。福島産が安全だということが数字でわかれば少しずつ食卓に取り入れられると思います。
・県産の野菜を主に食べていたので心配でしたが、検査して大丈夫だったので安心しました。
・検査の件数が多くなればそれだけ数値は確実なものとして、福島で暮らす人たちの参考となり、安心につながっていくと思います。モニタリングは今後も継続してその都度発表していただくことを期待します。」
自分たちが作っている実際の食事、日常的に子どもが口にしている食べ物について、不安やストレスを抱える中で重要な取り組みとだと思っています。

「2011〜2012年度までの300家庭の食事調査で見えたことは、検出された場合でも、食事由来の内部被ばく推計値は少ないことが分かりました。※新基準値の根拠である年間許容線量1ミリSVに対して数%となる。外部被ばくの年間量1.2ミリが多いかどうかの評価は別として、県民の安心を取り戻すための優先課題は、トータルで捉えれば環境除染を進めることではないかと考えています。」




福島県の農産物を支えるとりくみとして、東北6県の生協が福島の野菜・くだものを応援する企画を2ヶ月連続合計13万ケースの利用となりました。」

「コープふくしまの課題は、
・環境除染を実のあるものにするため、地域との積極的かかわりを持つ。
・食事に含まれる放射性物質の測定継続と、ホールボディカウンター測定との組合わせによる安心向上のとりくみ。
・生協組合員(住民)の日常の不安に応える住民目線の放射能学習活動を続ける。
福島県の農産物を利用してもらう取り組みの継続実施。
・「福島県原発はもういらない」署名のとりくみ。
仮設住宅住民などとのかかわりを続ける。
福島県が忘れ去られないために、全国との積極的かかわりを持つ。(福島県民は防護服を着ているの?)」

「最後にふくしまは、実際の放射能測定や学習を通じて学び、得られた情報から自分なりのもものさしで判断し、生活していくことが、安心への近道だと思っています。また、身近にも存在する放射能に関する学習は、福島県内外を問わず、大変重要なことだと思っています。是非、福島の現状を正しく知っていただき、寄りそっていただければと思っています。」